秩父の名水百選 。探る秩父の清流:名水百選と地元の料理

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秩父地域の名水は、自然豊かな地形と独特の地質構造に支えられ、その清らかな水質が多くの人々に愛されています。

 

本記事では、秩父の水源の地質的特徴や歴史的背景を探りつつ、地元の生活や文化にどのように溶け込んでいるかを解説します。

 

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秩父名水百選の概要

秩父地方は、昔からその豊かな自然環境と多様な地質構造が組み合わさって、数多くの清らかな水源を形成してきました。

 

特に注目すべきは、秩父名水百選にも選ばれている大洞川です。この川は奥秩父山塊の飛竜山付近から源を発し、秩父市を流れて荒川に合流します。

 

秩父の名水は、1985年に環境庁(現・環境省)によって「名水百選」として選定されました。この選定には、水の保全状況が良好であり、地域住民による積極的な保全活動が行われている点が評価されました​。

 

 

 

大洞川の水は、特に地下に設けられた導入管を通じて大洞第一発電所に導水されるため、地域のエネルギー供給にも寄与しています。

 

この一帯は秩父多摩甲斐国立公園の区域内に位置し、自然保護区としての重要な役割も担っています

 

流域では渓流釣りが楽しめるほか、自然愛好家たちにとって重要なレクリエーションの場となっています。

 

秩父名水百選の一つとして知られる武甲伏流水は、埼玉県秩父市に位置する武甲山からの伏流水です。

 

武甲山は石灰岩の大鉱床を有しており、この石灰岩が自然のフィルターとして機能し、非常に清浄で豊かなミネラルを含んだ水を提供しています。

 

 

武甲山の伏流水は、地元で非常に価値が高く評価されており、飲用水や酒造りに利用されることが多いです。

 

 

 

 

伏流水とは・・・伏流水(ふくりゅうすい)とは、地下の砂礫層や岩石層を流れる水のことを指します。これは地表近くの土壌水であり、河川の水や降水と密接な水理的な関係があります。伏流水は一般に河川や旧河道の下層に存在し、地表の水が地下に浸透して形成されるため、自然のフィルタリングプロセスを経て比較的清浄な状態で存在します。

 

 

伏流水は水質保全や地下水の再生に重要な役割を果たすと同時に、干ばつ時に河川の流れを支えるなど、生態系や地域の水資源管理においても重要です。

 

この水はしばしば湧水や井戸水として利用され、その清涼感やミネラルバランスが評価されることが多いです。

 

 

秩父の豊かな森林と名水

秩父地域の豊かな森林は、埼玉県の面積の約三分の二を占めており、その広大な緑地は地域の水源を豊かにしています。

 

秩父広域森林組合によると、この地域では木材の生産だけでなく、森林の持続可能な管理と保護も重視されています。これには、間伐や再造林など、森林の健全な状態を維持するための活動が含まれます。

 

 

奥秩父山塊を中心に、豊富な森林資源が地域の水質保全に大きく貢献しています。

 

この山塊には甲武信ヶ岳や雲取山など、多数の山が連なり、これらの山々からの豊かな水流が秩父地域の水源となっています​これらの山々は、関東地方の天然水の供給源としての役割を果たすと同時に、ハイキングや登山の目的地としても人気があります。

 

秩父地域では、森林からの水源を守るための取り組みが積極的に行われています。これには、森林内の生物多様性の保護や、自然環境との調和を図る林業活動が含まれます。

 

地域全体で環境保全に取り組むことにより、これらの豊かな森林が持続可能な方法で管理され、将来世代にも恩恵をもたらすことが期待されています​。

 

秩父地域での名水の利用と地元の料理

秩父地域の水は、地元の酒造りにも欠かせない要素です。この地域で生産される清酒は、秩父の清らかな水を使用しており、それが独特の味わいと香りをもたらしています。

 

地元の酒蔵では、伝統的な技法と地元の水を組み合わせることで、質の高い日本酒を醸造しており、これらのお酒は地元の料理とともに、またはそれ自体で楽しまれています。秩父地域の水は、料理だけでなく酒造りにおいても重要な役割を果たしているのです。

 

秩父地域での水の利用と料理は、地元の豊かな水源を生かした独自の食文化を形成しています。特に、清らかな水はそばや豆腐などの食材に使用され、その味わいをより引き立てています。

 

また、地域の清水は地酒の醸造にも用いられ、その特有の風味が評価されています。発酵食品にもこの水が使われ、味噌や醤油などの伝統的な調味料が生産されており、これらは和食の基本であり、地元食文化の核を成す重要な要素です。

 

 

妙見七つ井戸の伝説

妙見七つ井戸にはいくつかの興味深い伝説があります。一つの伝説では、昔この地域は非常に水が不足しており、人々は生活のために遠く荒川まで水を汲みに行かなければならなかったとされています。

 

ある日、水を求めて柳の木を切ろうとした木こりが、柳の精から「木を切らないでほしい」と頼まれたと言われています。その夜、夢に美しい女性が現れ、「私の子どもたちがいる柳の根元から水が湧き出る」と告げました。

 

翌日、木こりがその場所を掘ると、実際に清水が湧き出し、以後、その地域では水不足に悩まされることがなくなったと伝えられています。

 

この井戸は、歴史的にも非常に重要な場所であり、秩父神社への巡礼路にあるとされ、地元の人々にとっては霊験あらたかな場所として珍重されています。また、妙見七つ井戸の名前は、妙見菩薩(北極星を神格化した存在)に由来しており、その神秘的な力を信じる人々にとって特別な意味を持つ場所となっています。

 

 

 

妙見七つ井戸は、秩父市内に位置し、秩父鉄道「秩父駅」から徒歩でアクセス可能ですが、井戸が個人所有地にあるため訪問には注意が必要です。この地域の詳細やその他の情報については、ジオパーク秩父のウェブサイトを参照することをお勧めします。

 

宮地(みやじ)の低位段丘(ていいだんきゅう)と妙見(みょうけん)七つ井戸

 

まとめ

秩父はセメントで大活躍した秩父の産業であった石灰山である武甲山。何万年何千年の地層が隆起してできた秩父の特殊な地層は豊かな水を生み出す奇跡的な土地でもあります。

 

また秩父の武甲山伏流水は秩父の街中に存在し、昔の人々の生活を支えてきました。

 

秩父神社から徒歩5分。秩父でも古民家が残る唯一の場所にある旧寺内織物の母屋には井戸が存在します。いまだに枯れずに存在することに先日びっくりしました。

 

今後のプロジェクトが進んだ暁には秩父の名水を使用したおいしいコーヒーが飲めるような場所が提供できるようにがんばります。

 

この記事を書いた人

堀口 智彦

埼玉県秩父市出身。大学在学中独学で洋服デザインを学ぶ。2007年に渡英しLCF卒業後帰国し自身のメンズブランドを設立。2015年にブランドを休止し、企業にてチーフデザイナーとして3年間従事。その後シルクと黒文字に出会い、現在は株式会社ISILKの代表取締役。

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