月桃とは?沖縄で出会った香りの宝石|精油・効果・文化を知る
沖縄で出会ったもう一つの“森の香り”
精油の世界には、私たちの心や身体にやさしく働きかけてくれる“植物の記憶”が宿っています。秩父のクロモジに出会って以来、その香りに惹かれ、香りが育まれる土地と文化に深く関心を持つようになりました。
そんな中、沖縄の地で出会ったのが「月桃(げっとう)」という植物です。クロモジとは異なる気候・風土で育ちながらも、どこか通じるような透明感と芯のある香り。
その不思議な共鳴に惹かれ、私たちはこの月桃の魅力を深く知る旅に出ることになりました。
月桃との出会い ー クロモジとの香りの共鳴
月桃という植物に初めて関心を持ったきっかけは、意外にもクロモジでした。
クロモジは日本の山間部に自生する香木で、精油にするとウッディでありながら柑橘のような透明感ある香りが特徴です。その香りに魅了されていく中で、「どこか近いけれど、違う個性を持った香りがある」と感じたのが月桃でした。
毎年訪れる沖縄の空気や自然の中で、月桃の存在は徐々に心の中に輪郭を持ちはじめ、日本月桃株式会社さんにコンタクトを取り、現地の取り組みや製品について学ばせていただきました。
那覇中心に事務所を構える同社は、突然の訪問にも関わらず親切に迎えてくださり、月桃という植物の可能性を多角的に教えていただきました。
月桃とは?|ショウガ科の神秘的な植物
月桃(学名:Alpinia zerumbet)は、沖縄から奄美諸島、鹿児島県南部にかけて自生するショウガ科の多年草です。
沖縄に分布する月桃には2種類あり、原種の「月桃」と亜種である「タイリン月桃」に分類されます。月桃の葉は細長く、茎は竹のようにまっすぐに伸びるのが特徴。
白く可憐な花は、三日月のような形状と桃のようなふっくらした姿から「月桃」と呼ばれるようになったとされます。
また別の説では、台湾語での発音「ゲータオ」に「月桃」の漢字を当てたともいわれています。いずれにせよ、その名にふさわしい、どこか神秘的で優美な佇まいを持った植物です。
現在、都市部での月桃の採取は減少傾向にあり、奄美や離島地域を中心に計画的な栽培が行われています。成長が早く、年間を通じて収穫可能なため、安定した生産が可能な点も注目されています。
月桃の香り|爽やかさとスパイスが調和する精油
月桃の精油は、葉や茎から水蒸気蒸留によって抽出されます。100kgの葉から採取される精油はわずか100gほど。まさに自然からの“贈り物”ともいえるほど貴重なオイルです。
香りの特徴は、スパイシーさと清涼感のバランス。ややミントのようなツンとした香りを持ちつつ、奥にほのかな甘さも感じられます。これは、自己防衛のために植物が生成する抗菌成分が、私たちの感覚に“心地よい刺激”として届くためです。
クロモジやニオイコブシなどと同様に、月桃にも独自のリラックス効果と集中力向上が期待され、香水、ルームフレグランス、アロマセラピーなど幅広く活用されています。
月桃の効能|健康・美容・暮らしに活かせるチカラ
月桃は単なる香りの植物ではなく、古くから沖縄の人々の生活と健康を支えてきました。
✔ 抗菌・防カビ作用
月桃には強い抗菌作用があり、食品の保存や建物のしっくい素材、防虫・防カビ対策としても活用されています。沖縄では「ムーチー」という餅を月桃の葉で巻いて保存・厄除けに用いる文化もあります。
✔ 高ポリフェノール含有
月桃の葉には、なんと赤ワインの34倍にもおよぶポリフェノールが含まれており、健康茶やサプリメントとしても注目されています。抗酸化作用が高く、アンチエイジングや体内の炎症対策にも有効とされています。
✔ 美容・スキンケアにも
精油を抽出する際に得られる「芳香蒸留水(月桃ウォーター)」は、肌を整える化粧水としても利用されています。保湿・消炎作用に優れ、敏感肌向けの自然派スキンケアにも理想的。沖縄のお土産品として人気の石けんにも配合されています。
地域の植物がくれる癒し|ISILKの視点から
月桃のように、特定の地域にしか生息しない植物には、その土地の気候・風土・文化が深く根づいています。私たちISILKが秩父で出会ったクロモジもまた、その典型です。
自然とともに生き、香りを暮らしに取り入れてきた文化は、今こそ新しい形で再評価されるべきだと感じています。
香りは人の記憶に寄り添い、心と身体に働きかける力を持っています。月桃の香りと出会ったように、地域が育んだ精油の魅力を発掘し、それを現代のライフスタイルに合ったかたちで届けていくことが、私たちISILKの役割でもあります。
BLACKLETTERSについて|クロモジの香りを世界へ
ISILKが展開するフレグランスブランド「BLACKLETTERS」では、秩父産のクロモジ精油をベースにした香水やフレグランススプレーを開発しています。
森の中に佇むような清らかさと、芯のあるウッディーな香りは、まさに日本の自然そのもの。月桃と同様に、地域の植物が持つ香りの力を信じ、その価値を世界へ発信するブランドです。
商品は秩父神社となりの「まつり会館」でも香りを試すことができ、オンラインショップでも展開中です。
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沖縄などの亜熱帯地方に自生する繁殖力の強い多年草.沖縄では「サンニン」と呼ばれ、民間薬として古くから使用されている。100kgの葉から100gほどしか採油されないため、たいへん高価な精油である。
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