自然の香りと肌への恵み——精油と化粧品原料の意外なつながり
香りに癒されながら、同時に肌にも嬉しい効果があるとしたら——。 実は私たちの身近にある天然の香り、たとえば柑橘や花の精油の多くが、化粧品の保湿や美白といった有効成分としても活用されています。
本記事では、オレンジやグレープフルーツ、ユズ、ショウブなど、日本や世界で親しまれてきた植物の「香料」と「化粧品原料」としての共通点を解説しながら、自然の恵みがいかに私たちの心身に作用しているかを紐解いていきます。

柑橘類の香りと保湿力
オレンジ果実エキス × オレンジ精油
ミカン科植物オレンジ(Citrus sinensis)の果実から得られる果実エキスは、保湿効果や角質柔軟効果に優れており、化粧水やスキンケア製品によく配合されます。日本では主にネーブル種が静岡県や広島県で栽培されていますが、化粧品原料としては米国などからの輸入が主流です。
一方、オレンジ精油はその甘く爽やかな香りでリラックス効果があり、アロマとしても高い人気を誇ります。香りで癒し、肌にはやさしさを——まさに五感で楽しめる素材です。
グレープフルーツ果実エキス × 精油
グレープフルーツ(Citrus paradisi)は、18世紀に自然交配で誕生した柑橘で、現在では米国、中国、南アフリカなどで広く栽培されています。果実エキスには肌を引き締める作用や保湿作用があり、特にエタノールやBGで抽出したエキスは化粧品の成分として広く使用されています。
精油としても人気があり、スッキリとした香りが気分をリフレッシュさせてくれます。なお、抽出溶媒によって作用が大きく異なるため、成分や抽出法の違いに注意することが重要です。
冬の香り、ユズの万能力
ユズ果実エキス × ユズ精油
ユズ(Citrus junos)は中国原産で、奈良時代には日本に伝来したとされます。寒さに強く、北は東北地方まで栽培が可能で、日本の食文化にも深く根付いた果実です。冬至における「ゆず湯」の習慣でも知られていますね。
ユズ果実エキスには、血行促進、保湿、収れんなどの効果が期待されます。さらに、BG抽出で得られる「ユズセラミド」には、バリア機能の改善や毛髪修復作用があると言われ、植物由来のセラミドとして注目されています。
精油としてのユズも、爽やかな香りとともに心身のバランスを整える働きがあるとされています。
菖蒲の美白効果と薬草文化
ショウブ根茎エキス × アイリス精油
ショウブ(Acorus calamus)は、古くから魔除けや薬草として日本の生活に取り入れられてきました。池沼の水辺に自生し、菖蒲湯に使われることで知られています。
ショウブ根茎エキスは、美白(メラニン抑制)や肌のバリア機能向上、アレルギー性皮膚炎の緩和などに効果があるとされています。一方、精油の「アイリス」は別種(Iris germanica)に由来し香料として使われることが多いですが、いずれも自然の恩恵を肌と香りで感じられる存在です。

自然素材の“香り×機能性”が、心と肌をつなぐ
オレンジやユズなどの香りは、ただ癒しを与えるだけでなく、肌を整える化粧品成分としても力を発揮します。このように精油と化粧品原料の世界は重なり合いながら、私たちの肌と心に深く寄り添っているのです。
私たちのブランド BLACKLETTERS では、秩父の森で育った黒文字(クロモジ)をはじめとする天然素材から、香りを通して“記憶に残る体験”を創造しています。自然の香りと機能性が調和する香水ラインは、感性豊かな日常を彩ります。
また、SHELOOKでは、シルクを中心とした自然素材の力を活かし、肌本来の美しさを引き出すスキンケアラインを提案しています。オーガニック認証こそ取得していないものの、植物の力を生かした配合設計には、徹底したやさしさと美しさへのこだわりが息づいています。
自然の力を、肌と心に。これからのライフスタイルは、感性と機能のどちらも大切にしたいですね。
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