日本のクラフトジン革命:クロモジがもたらす独自の魅力

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日本のクラフトジン市場は、地元のボタニカルを使用して独自性を追求する新しいトレンドによって、大きな注目を集めています。

 

弊社は黒文字のフレグランスブランドを運営していますが、クラフトジンはまさにお酒の香水と言われる所以。かなり興味があります。

 

特に「クロモジ」は、その香り高い特徴でジン愛好家たちを魅了しています。この記事では、クラフトジンとクロモジの組み合わせが日本のジン市場にどのような影響を与えているかを探ります。

 

 

クラフトジンとは何か?

クラフトジンは、小規模な蒸留所で生産されるジンの一種です。独自の製法や特有のボタニカル(植物性原料)を使用することがその主な特徴とされています。

 

2010年頃から、これら個性豊かなクラフトジンは、そのユニークな風味と品質により、世界中のジン愛好家から高い評価を受け、人気を集め始めました。

 

クラフトジンの定義は、「造り手のこだわりが反映された個性的なジン」とされ、その土地ならではのボタニカルを使用したり、特定の原料にこだわったり、ユニークなストーリーを持つことが特徴です。

 

一般的なジンとは異なり、クラフトジンはその産地特有のボタニカルを使用することが多く、例えば日本では柚子やお茶の葉、山椒が用いられることがあります。さらに、ジンの香りはボタニカルによって決まるため、それらの選択と使用方法によって多様な香りを生み出します​​。

 

また、クラフトジンの製造においては、香りづけのベースとなるスピリッツ(原料のお酒)も重要です。農作物由来であれば基本的にどのような原料も使用可能で、高品質な大麦やライ麦、ワイン産地であるフランスならブドウ、日本では米や焼酎が使われることもあります。

 

造り手の強いこだわりが、独自の製法や手間がかかるプロセスに反映されています​​。このように、クラフトジンは、その製造プロセスやボタニカルの選択、原料に至るまで、造り手の個性とこだわりが色濃く反映された、多様でユニークなスピリッツです。

 

 

個性的な製法とボタニカル

クラフトジンは、その土地ならではのボタニカル(植物性原料)を使用しており、5~10種類以上のボタニカルを使うことが一般的です。中には40種以上を使用するブランドもあります。

 

たとえば、日本産のジンでは柚子やお茶の葉、山椒などが使われますが、イギリス産ではラベンダーやバラ、スペイン産では地中海のハーブが使用されることがあります​​。

 

ベーススピリッツへのこだわり

ジンの製造において、ベースとなるスピリッツ(蒸留酒)の原料も重要です。クラフトジンでは、高品質な大麦やライ麦などの原料を使用することが多く、フランス産ではブドウを、日本産では米や焼酎を原料として使用することもあります。

 

造り手によるこだわりによって、ベーススピリッツの原料が選ばれ、その後、ボタニカルを加え蒸留することで、豊かな香りを持つジンが完成します​​。

 

少量生産とユニークなストーリー

クラフトジンは、小規模生産者によって造られることが多く、生産量は大手ブランドに比べ少なめです。

 

また、そのユニークな成り立ちやストーリーを持つことも一般的です。これらの要素が組み合わさることで、クラフトジンはその地域特有の個性や文化を反映した独特の製品となります​​。

 

 

日本のクラフトジン市場の特徴

日本のクラフトジン市場は、2014年以降、大手酒類メーカーやウイスキー蒸溜所がジンの生産を開始し、新たなジン専門蒸溜所も多く設立されています。2018年のジン輸出量は前年比606.6%と大躍進し、ウイスキーに次いで輸出量第2位となりました。

 

この成長は、国産ジンを中心とした“ジャパニーズクラフトスピリッツ”の市場が活況を呈していることを示しています。2017年の日本のジン市場は58万ケースに達し、2500円以上のプレミアムジン市場が前年比2.4倍増の2万7000ケースに急成長しました​​。

 

ジンの生産においては、ジュニパーベリーをメインとしたボタニカルをベーススピリッツに加えて蒸留することが一般的です。日本のメーカーは、蒸溜時に加えるボタニカルで日本らしい味わいを表現しています。例えば、サントリーの「ROKU」では、桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子などの6種のボタニカルが使用され、上品な香りと繊細な口当たりが特徴です​​。

 

また、和の風味を感じる「季の美」を製造する京都蒸溜所は、京都の風土や伝統、文化に魅了された創業者によって日本初のジン専門蒸溜所として2015年に設立されました。

 

「季の美」は、ジュニパーベリーの効いたロンドンドライスタイルに、柚子や玉露、生姜など主に京都産の「和」のエッセンスを加えたスーパープレミアムクラフトジンです。京都の風土を生かした製法や原料の選択が、このジンの個性を形成しています​​。

 

これらの事例から、日本のクラフトジン市場は、伝統と革新が融合した独自の味わいを持ち、国内外での需要が高まっていることが見て取れます。この市場の今後の動向は、さらなる品質向上や国際的なブランディング戦略によって左右されるでしょう。

 

クロモジの魅力とは?

クロモジは、日本固有の香木であり、ジンに独特の風味を加えることで知られています。例えば、「香の森」というクラフトジンは、クロモジの細枝、葉、太枝を使用し、特徴的な香りと味わいを引き出しています​​​​。

 

このジンでは、クロモジの風味を際立たせるために100種類を超えるボタニカルの中から18種類を厳選しています。

 

クロモジの細枝のみを加えて蒸留し、その他のボタニカルをあらかじめ浸漬し蒸留した液とブレンドする製法を採用しています。この工程は、静謐な森のような重厚感ある風味とスパイスの甘い余韻を生み出します​​​​。

 

このように、クロモジを活用したクラフトジンは、日本の自然を感じさせる独特の風味と、深みのある味わいを提供します。それは、日本のクラフトジンが世界的に注目を集める要因の一つとなっています。

 

日本産クロモジを使用したクラフトジンの例

日本全国の133ブランドのクラフトジンがあり、ブランドごとに特徴やボタニカル、価格などが異なります。「香の森」はクロモジを主役に据え、氷が溶けるにつれて香りが広がる特徴があります。

 

クラフトジン市場の今後の展望

ジンブームはウイスキーブームと比較され、新しい飲み方の提案、製品の国際的評価、話題の提供などが今後のキーポイントとなるでしょう。

 

サントリーはジンソーダなど新しい飲み方を提案し、京都蒸溜所の「季の美」は国際的な評価を受けています。今後は、ジン市場のさらなる成長とブランドの国際的評価が期待されます。

 

 

この記事を書いた人

堀口 智彦

埼玉県秩父市出身。大学在学中独学で洋服デザインを学ぶ。2007年に渡英しLCF卒業後帰国し自身のメンズブランドを設立。2015年にブランドを休止し、企業にてチーフデザイナーとして3年間従事。その後シルクと黒文字に出会い、現在は株式会社ISILKの代表取締役。

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