クラフトコーラとは?―その歴史と作り方、そして“クラフト精神”とのつながり

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コーラと聞くと、誰もが思い浮かべるのが「コカ・コーラ」。

しかし最近では、“クラフトコーラ”という新しいジャンルが注目を集めています。

 

今回はその背景を探るとともに、実際にクラフトコーラを作ってみた体験、

そして私たちが考える“クラフト精神”や、黒文字(クロモジ)という日本の自然素材についてもご紹介します。

 

 

コカ・コーラのはじまり ― その知られざる歴史

現在もレシピが企業秘密とされる「コカ・コーラ」は、1886年、アメリカ・ジョージア州アトランタで薬剤師ジョン・S・ペンバートンによって開発されました。



もともとペンバートンは、「頭痛や神経疲労に効く薬用シロップ」として、ワインとコカの葉をベースにしたトニック飲料「フレンチ・ワイン・コカ」を販売していたと言われています。

 

しかしその後、アメリカ南部で禁酒法が施行されたことを受け、アルコールを炭酸水に置き換えて開発されたのが、現在のコーラの原型です。

 

当初は薬局のソーダファウンテンで「飲む薬」として販売されており、当時の広告では「頭痛・消化不良・疲労に効く」とも紹介されていました。

 

また一説では、炭酸水で割るつもりのシロップを、店員が誤って水の代わりにソーダ水で割って提供したところ、大好評だった――というエピソードも残っています。

 

1892年にはアサ・キャンドラーが経営権を取得し、コカ・コーラ社として事業を急拡大。瓶詰め製品や自動販売機の導入、赤と白の印象的なロゴなどのブランド戦略が功を奏し、コカ・コーラはあっという間にアメリカ中、そして世界中に広がっていきました。

 

 

 

公開された“幻のレシピ”と香りの秘密

100年前のコカ・コーラのレシピとされる文書が一度だけ公開されたことがあります。その内容には、ライムジュースやバニラの他、以下のような香料“7X”が使われていました。

 

  • オレンジオイル

  • レモンオイル

  • ナツメグオイル

  • コリアンダー

  • ネロリ

  • シナモン

  • アルコール

 

これらの香りの絶妙なバランスが、コーラの“あの味”と記憶に残る香りを生み出していたのかもしれません。

 

 

日本で広がるクラフトコーラブーム

そんな大手メーカーの陰で、近年静かに注目を集めているのが「クラフトコーラ」です。

 

クラフトコーラは、保存料や人工香料を使わず、スパイス・柑橘・ハーブなどの天然素材のみで手作りされる、まさに“飲むクラフト”。



ブランドごとに異なるレシピが存在し、それぞれの地域や文化を表現する存在として人気が高まっています。

 

中でも注目されているのが、日本の伝統植物である黒文字(クロモジ)を使ったクラフトコーラ。

スパイスの複雑さの中に、黒文字の持つやさしく、清らかで、奥深い木の香り
が溶け込み、他にはない味わいを作り出しています。

 

 

 

実際にクラフトコーラを作ってみた

以下は、私が実際に試してみたレシピです。

 

材料(コーラシロップ約500ml/コーラ約10杯分)

  • 水…400ml
  • 三温糖…400g ※上白糖でも可(透明に近い薄い色味になる)
  • クローブ(ホール)…40粒(約4g)※ホール…挽いていない状態
  • カルダモン(ホール)…20粒(約3g)
  • シナモンスティック…3本 ※なければシナモンパウダー小さじ1を工程4で加える
  • バニラビーンズ…1/2本(7~8cm) ※なければバニラエッセンス5~6滴を工程4で加える
  • レモン(ノンワックスのもの)…2個
  • 黒文字(2から3本)

 

完成したコーラは、スパイスの香りが非常に豊かで、一般的なコカ・コーラとはまったく別物。特にクローブとカルダモンの香りが強すぎて、「まずい」と感じる方もいるかもしれません。

 

しかし、“自然の恵みで作られた体にやさしいコーラ”と考えれば、受け入れられる味だと感じました。レシピの改善点としては、コーラナッツやライム、ハーブ系でマイルドさを調整する必要がありそうです。

 

 

秩父発クロモジを使用したクラフトコーラ 清涼飲料水製造許可とは?

 

 

黒文字 ― 飲んでも香っても楽しめる、日本の香木

黒文字(クロモジ)は、クスノキ科の落葉低木で、日本の山地に自生する植物です。

古くから爪楊枝や漢方の素材として使われ、心を落ち着かせる爽やかなウッディシトラス調の香りが特徴です。

 

この黒文字は、クラフトコーラの香味素材としてだけでなく、精油(エッセンシャルオイル)としても非常に優れており、香水やアロマオイルとしても用いられています。

 

つまり黒文字は、「飲んで楽しむ香り」でもあり、「香って癒す香り」でもあるのです。

 

 

 

ISILKの挑戦 ― 黒文字の香りを纏うという贅沢

私たちISILKでは、秩父の自然と文化からインスピレーションを得て、クラフトフレグランス「BLACKLETTERS」を展開しています。



その中核となる香料が、まさにこの黒文字です。

 

クラフトコーラに使われる黒文字と、私たちの香水に使われる黒文字。

同じ自然の恵みが、「飲む」と「香る」の両面で、豊かな時間を与えてくれます。

 

一滴に宿る香り、一口に広がる余韻。

そのどちらにも、黒文字という“森の知恵”が生きています。

 

 

まとめ ― 香りでも、ドリンクでも。黒文字がつなぐクラフトの世界

クラフトコーラの一杯に込められた香りの世界と、香水に込められた自然の余韻。

それは決して別のものではなく、一つの素材が生み出す二つの体験です。

 

自然と向き合い、素材と真摯に向き合う――

そんな“クラフトマンシップ”の精神を、香りという形でも、ドリンクという形でも、皆さまに届けていきたいと私たちは考えています。

 

👉 黒文字の香りをもっと知る ― BLACKLETTERS 公式ページへ

 

 

 

 

この記事を書いた人

堀口 智彦

埼玉県秩父市出身。大学在学中独学で洋服デザインを学ぶ。2007年に渡英しLCF卒業後帰国し自身のメンズブランドを設立。2015年にブランドを休止し、企業にてチーフデザイナーとして3年間従事。その後シルクと黒文字に出会い、現在は株式会社ISILKの代表取締役。

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