株式会社ISILK

国産シルク一元化とは?秩父から始まる養蚕・製糸・製品の垂直統合への挑戦

私たちISILKは、秩父産クロモジとシルクを軸に、香りと肌を通じた製品づくりを続けてきました。
その歩みのなかで、ひとつの構想が形を変えながら、より大きな問いへと育っていきました。

 

「秩父でとれた素材が、秩父で製品になる。その一連をすべて自分たちの手でつなげられないか」

 

これが、私たちが今取り組む「国産シルク一元化」プロジェクトの出発点です。

 

 

クロモジとシルク——2つの素材が教えてくれたこと

BLACKLETTERSのフレグランス開発を通じて、私たちはクロモジという素材の深さを知りました。秩父の山に自生し、かつては高級楊枝や神具に使われた香木。その精油を香水に落とし込む過程で、「素材の出所から製品まで自分たちで一貫してつくる」ことの価値を肌で感じるようになりました。

 

シルクも同じです。養蚕農家との協働を始めて以来、繭から糸、糸から製品へと至るプロセスがいかに分断されているかを実感してきました。日本のシルク製品の品質は世界最高水準です。しかしその原料の多くは中国産に依存しているのが現実です。

 

国内の養蚕農家は年々減少し、製糸場は原料となる繭の確保に苦しんでいます。技術はある、設備もある、でも繭がない——この構造的な問題が、国産シルクを内側から空洞化させています。

 

この2つの素材との出会いが、「国産シルクをいかにして生き返らせるか」という問いを私たちに与え、「一元化」という方向性を示してくれました。

 

 

「KUROMOJI to SILK」という構想から学んだこと

以前、私たちはクロモジとシルクを融合した体験型のリアル店舗「KUROMOJI to SILK(仮)」という構想を描いていました。香りと肌、五感を通じて秩父の自然を届ける場所をつくるという夢です。

 

この構想は、現在の形では進んでいません。しかし終わったのではなく、より根本的な問いへと深化しました。

 

店舗という「点」をつくる前に、素材が生まれ、加工され、製品になり、届けられるまでの「線」をつなぐ——そのことに、まず全力を注ぐべきだという確信に変わったのです。

 

 

国産シルク一元化とは何か

現在、日本の絹産業は深刻な分断を抱えています。

 

養蚕(繭をつくる)→ 製糸(糸にする)→ 撚糸・精錬(加工する)→ 縫製・製品(仕上げる)という工程が、それぞれ異なる担い手・異なる地域・場合によっては異なる国にまたがっています。

 

その結果、「国産シルク製品」を名乗っていても、工程のどこかで国産でなくなっているケースが少なくありません。

 

ISILKが目指すのは、この一連を秩父を拠点に統合すること。川上から川下まで自社でつなぎ、素材の出所から製品まで「秩父産」と言い切れるシルクを世に出すことです。

 

4つの工程をつなぐ——具体的な設計

① 桑園・養蚕

伝統的な養蚕農家との協働を継続しながら、新たに中規模の養蚕を自社で設計します。桑畑の半自動化、空調などIoTによる環境管理の自動化、そして廃校を活用した養蚕システムの導入を検討しています。

 

② 製糸

製糸場が年間を通じて繭を安定確保できるよう、ISILKが計画的に繭を生産・供給します。自社で作った繭は、製糸場への販売用と自社使用に分けて活用します。製糸場を「守る」ことが、この工程の核心です。

 

③ 撚糸・精錬・染色

撚糸については、高齢化が進む職人の技術を次世代につなぐため、群馬の蚕糸館の方と連携して技術継承を進めています。精錬は国内でも高い技術評価を受ける工程で、シルクの表面にあるセリシンを取り除くことで、素材本来の光沢と肌触りを引き出します。

 

④ 縫製・製品

ホールガーメントによる自動編みをはじめ、シルクT・シルクキャップ・靴下・レッグウォーマー・腹巻きなど、肌に直接触れる製品を中心に展開します。すべてisilk.storeを通じてBtoCで直販し、ブランドとして価値を届けます。

 

 

 

なぜ今、この挑戦なのか

国産シルクへの関心は、サステナブル消費・国産回帰・素材の透明性という社会の流れとともに確実に高まっています。しかし供給側の体制が整っていないため、ニーズに応えられていないのが現状です。

 

私たちには秩父という土地があり、養蚕農家とのつながりがあり、BLACKLETTERSとSHELOOKという2つのブランドがあります。

 

この組み合わせは、他には簡単に真似できない固有の強みです。

一元化が実現すれば、素材の品質管理・ストーリーの一貫性・価格の適正化、すべてが変わります。そしてそれは、地域の雇用や農家の後継者問題にもつながる話です。

 

 

 

 

舞台は「皆野」——秩父と長瀞の間に眠る可能性

現在、具体的な拠点として模索しているのが、秩父市と長瀞町の間に位置する皆野町です。

 

ここには廃校があります。かつて地域の子どもたちが学んだ場所を、今度は養蚕の場として再設計できないか——その可能性を今まさに探っています。

 

廃校という器は、蚕を育てる広さ・温度管理のしやすさ・地域との接点という点で、養蚕の復活に適した条件を持っています。新しく建てるのではなく、地域に残る資産を活かすことも、一元化の思想と一致しています。

 

また、この地域にはかつての製糸の仕組みが一部残っています。それを守りながら、現代の流通・ブランディングとつなぎ直すことが、私たちの役割だと考えています。

 

これから

まだ動き出したばかりです。廃校の活用可否、地域との合意形成、製糸工程の再設計——越えるべきことは多くあります。しかし、クロモジとの出会いから始まったISILKの歩みは、常に「誰もやっていないから」を理由に動いてきました。

国産シルクの一元化も、同じ理由で進めます。

このプロジェクトの進捗は、このブログを通じて随時お伝えしていきます。

 

 

BLACKLETTERSの香り——秩父から生まれたフレグランス

シルク一元化と並走して、クロモジを軸にしたフレグランスブランドBLACKLETTERSも継続展開中です。

KUROMOJI(クロモジ) ¥4,620(税込・8ml) 森の奥深さを感じるウッディな香り。代表作。 → 詳細はこちら
URAHA(ウラハ) ¥4,620(税込・8ml) グリーンティーとシトラスの爽やかな森の香り。 → 詳細はこちら
SORAIRO(ソライロ) ¥4,620(税込・8ml) レザーとタバックが重なる、個性的な深みのある香り。 → 詳細はこちら

まず試してみたい方にはサンプルセット(¥990)もご用意しています。

 

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秩父に来たら、ぜひ立ち寄ってください。

秩父祭の歴史を伝える「秩父祭り会館」にて
BLACKLETTERSの香水を販売しています。

秩父の森から生まれた香り、
ぜひ現地で体験してみてください。

秩父祭り会館

〒368-0041 埼玉県秩父市番場町2-8

0494-23-1110

10時00分~17時00分 休館日:毎週火曜日

ACCESS 

  • 電車をご利用の場合

    西武鉄道ご利用の場合 池袋より西武秩父線利用 西武秩父駅下車 徒歩15分
    秩父鉄道ご利用の場合 熊谷駅から秩父鉄道 秩父駅下車 徒歩3分

    お車をご利用の場合

    関越自動車道ご利用の場合 関越自動車道 花園I.C.下車 国道140号で秩父方面へ
    日高・飯能方面よりお越しの場合 国道16号経由、国道299号で秩父方面へ
    甲府・山梨方面よりお越しの場合 中央自動車道 勝沼I.C.より国道20号~国道411号~国道140号経由で秩父方面へ

この記事を書いた人

堀口 智彦

埼玉県秩父市出身。大学在学中独学で洋服デザインを学ぶ。2007年に渡英しLCF卒業後帰国し自身のメンズブランドを設立。2015年にブランドを休止し、企業にてチーフデザイナーとして3年間従事。その後シルクと黒文字に出会い、現在は株式会社ISILKの代表取締役。

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